英語学習全般

英会話を前提にしないで覚えた英単語は役に立たない

昔、ぼくたち50代の人間が大学受験をした頃、英語と言えばまだ「長文読解」が中心で、英会話力についてとやかく言う人はいませんでした。

ところが最近、といってもここ10年くらいですが、英語はやはり話せないと意味がない、という考えがやっと主流になってきました。

しかしここにきて、「だからこそ、英単語をもっと覚えないとダメじゃないか」という流れになって来て、いまだかつてないほど英単語力重視の教育方針になってきたようです。

英単語をたくさん覚えることと英語が話せるということとは果たして比例するのでしょうか?
これでよいのか、日本の英語教育?
今回はちょっと教育論みたいなことを書いてみました。

勉強のための参考書など

学校では英単語を覚える重圧が年々増えている

文部科学省の学習指導要領というのは約10年ごとに改正されるそうですが、その一環として2020年(まさにコロナの年)から義務教育の中で覚えるべき英単語の数がぐんと増えたそうです。

具体的に言えば中学3年間だけで1,600語~1,800語も覚える必要があるそうです。

しかも2020年度からは小学校でも英語が正式に“教科”扱いとなりますので、何と驚くなかれ!小学生のうちにすでに600語から700語を覚えさせられるそうです。

…ということは、中学を卒業する時点で2,200語から2,500語を暗記し終わっていることになります。

前年の2019年までは教科としての英語は中学からで、その中学3年間で覚える英単語も1,200語でした。

だから 1年で一気に2倍以上に増えたわけですね。

大丈夫か? 日本の子どもたち!!

ちなみにぼくが中学生だった頃の学習指導要領では中学校の卒業時点で覚えるべき英単語はわずか800語でした。
なんて牧歌的な時代だったのでしょう。

そして大学受験までに少なくとも3,000語ほど覚えることになっていたように思うのですが(記憶がちょっと曖昧)、ぼくが大学受験時に覚えていた英単語の数はたぶん1,500語もなかったと自信を持って言えます。

頭を抱え込んでいる人

 

日本人は単語は知っていても、実践が足りない

先日、オンライン英会話でよく指名しているフィリピン人の女性の先生に「日本人の英語って、どう思いますか?」と聞いてみました。

その時の彼女が言った言葉をそのまま書き起こしたのが次です。

Japanese people work harder than other nationalities.
For example, I have spoken Japanese, Koreans, Chinese, Taiwanese.
Japanese speakers know more words.
You have high vocabulary, but you lack practice.

(日本人は他の国の人たちよりがんばって勉強しています。たとえば私は今まで日本人や韓国人、中国人、台湾人としゃべったことがあるけど、英単語を一番知っているのは日本人たちです。でも日本人はボキャブラリーはたくさんあるだけで、実践が足りません。)

彼女はやわらかい表現で言ってくれましたが、ノンネイティブだけど英語はペラペラという人たちから見ると、日本人は英単語信仰があるだけで実際には英語がしゃべれない、っていうことです。

パソコンの前で困っている女性

 

暗記している英単語の数と英会話ができるかどうかは別

実際、毎日オンライン英会話をやっていても気づくのですが、英単語集で暗記した単語ってなかなか口を突いて出て来ないんですね。

たとえばぼくたちのように『赤尾の赤単』で育った世代なら、その単語集の最初のページにあった “abandon” という単語を覚えている人が少なくないと思います。

赤単は単語の掲載順序がアルファベット順だったので、どこら辺まで進んで挫折するにせよ、最初の “abandon” だけは覚えている、という人が多かったのです。
(ちなみに当時の大ベストセラー『試験にでる英単語』)の最初の単語は “intellect”)

でも、ぼくはその “abandon” という単語を今まで一度も実際の英会話の中で使ったことがありません。
なぜならその単語を知ってはいても、使い方がわからないからです。

確かこの “abandon” のところには「捨てる、放棄する」と書かれていたように記憶しているのですが、ではいったい何を捨てる場合に使う言葉なのかがわかりません。

はたして紙クズをゴミ箱に「捨てる」時に使ってよいのかどうか…。(普通、使いません)

こういうことが今でもわからないというのは、“abandon” という単語を覚えた時、実際の場でしゃべるために覚えたのではなく、試験のために覚えたからです。

こういう悩み方をする人間はたぶんぼくだけではないと思います。

だから文部科学省がただひたすら子どもたちの脳ミソに英単語を詰め込んだって、英語が話せる日本人を量産できるとは思えないのです。

文部科学省が学校で覚える英単語をひたすら増やしていく理由は「英語がしゃべれないのは知っている英単語が少ないからだ」と信じているからでしょう。

しかし、これは先ほどご紹介したオンライン英会話のフィリピン人の先生の考えとは正反対です。

言い方を変えると、英語を普通にしゃべれる外国人たちの感覚とは逆行している、ということです。

むしろ少ないボキャブラリーでどう “やりくり” するか、という視点で英語を考え直した方が日本人の英語力はアップするのではないかと思います。

単語帳にバツ印で否定している写真
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